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Team DiET Colloquium vol.0

心筋梗塞(MI)既往のある患者を対象としたシンバスタチンによるLDL-C低下療法 (通常治療/強化治療) の比較研究

Intensive lowering of LDL cholesterol with 80 mg versus 20 mg simvastatin daily in 12064 survivors of myocardial infarction:a double-blind randomised trial
(The Lancet, Volume 376, Issue 9753, Pages 1658 - 1669, 13 November 2010)
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(10)60310-8/fulltext#article_upsell

【背景】
LDLコレステロールの低下は大血管イベントを減少させますが、より強化的な療法が安全でかつ効果があるかは不確実である。

【目的】
高い心血管系リスクに対し、より強化的にスタチンを投与し、効果と安全を確立できるかを検証する。

【方法概要】
 ■対象
  心筋梗塞(MI)既往のある18~80歳の男女。
  T-Chol >3.5mmolL あるいはスタチン内服中で>4.5mmol/L
 ■介入
  シンバスタチン80mg or 20mg/day
 ■Primary endpoint
  大血管障害 冠動脈死、MI、stroke、血行再建
 ■評価
  開始前,2,4,8,12M+6M毎のフォローアップ
 ■解析
  ITT解析

【結果概要】
シンバスタチン80mg/day群とシンバスタチン20mg/day群を比較すると、LDL-Cは減少、ApoBも減少しているものの、HDL-C, apolipoprotein A1に有意差はなかった。
また、治療期間が長期になっても、大血管障害のリスクは有意に減少しなかった。
Non-vascular、悪性腫瘍、臓器別の発生率についても有意差はなかった。
また、80mg/day群でCKが有意に上昇した。

【結論要旨】
LDL-C 0.35mmol/L減少、相対リスク減少率6%であったという結果は、これまでのstudyと合致する。
 ・LDL-C 1.0mmol/L減少、相対リスク減少率22%(Lancet2010)
 ・LDL-C 0.35mmol/L減少、PRR7%
二次予防にはLDL-C 2mmol/L(=76mg/dL)以下が推奨され、シンバスタチン80mgの投与に補助金が支払われているUKでは、多くの人が強化群に流れてしまい、試験開始直後、シンバスタチン80mg/dayと20mg/dayの間で、LDL-C 0.5mmol/Lあった差が、終了時には0.35mmol/Lになってしまった。

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【Team DiET の議論】
古典的スタチンではThe lower, the betterは証明できなかった。
この結果の背景には、強力な脂質硬化療法に対する国の補助金が支給され、20mg/day群の一部が80mg/dayに移行したことも関与している。


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