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Team DiET Colloquium vol.1

体重減少の維持に影響を与える蛋白含有量及びGI値の比較試験

Diets with High or Low Protein Content and
Glycemic Index for Weight-Loss Maintenance
( N Engl J Med 2010; 363:2102-2113 )
http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1007137

【背景】
「低脂肪食で短期間の体重減量」
「低炭水化物・高蛋白・高脂肪食で体重減量」という報告があるが、
その減量効果は1年以内であったとの論文がある。
一方で、低GI食が体重維持に有効かもしれないとする論文がある。

【目的】
食事中の蛋白量、glycemic indexが、
体重減量後の体重維持に与える影響を検証する。

【方法概要】
欧州8カ国の肥満成人が対象。
減量期間として8週間低カロリー食(Modifast800kcal+野菜400g)とし、
開始体重の8%以上の減量を行う。
減量成功者のみ、26週間の体重維持期間として、無作為に以下の5グループに割付。
また、総カロリーの25~30%は脂肪成分、体重を維持する限り総カロリーの制限はなしとした。
・高蛋白食(総カロリー25%)×高GI食群
・高蛋白食(総カロリー25%)×低GI食群
・低蛋白食(総カロリー13%)×高GI食群
・低蛋白食(総カロリー13%)×低GI食群
・control食群
食事相談は、最初1週おきとし、6週以降は1ヶ月おき。
栄養摂取はローカルの食物データベースに基づき計算。
蛋白摂取量は0, 4, 14, 26週にtotal 24-hr Urinary Nitrogen excretionで評価。
主要アウトカムは体重減量後の体重増加。
結果はintention-to-treat解析、completion解析等が行われた。

【結果概要】
高蛋白食×低GI食群では、低蛋白食×高GI食群に比べて、研究の脱落者数が少なかった。
低カロリー食による体重減少の平均は 11.0 kg であった。
低蛋白食×高GI食群のみが体重再増加と関連していた。
体重再増加は,高蛋白食群では低蛋白食群よりも 0.93 kg 少なく、
低GI食群では高GI食群よりも 0.95 kg 少なかった。
食事に関連した有害事象に関しては,有意な群間差は認められなかった。

【結論要旨】
蛋白含量をやや高くし、glycemic indexをやや低くすると、
脱落者が少なく、体重減少の維持につながった。

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【Team DiET の議論】
最終的なエネルギー(J) 炭水化物量
高蛋白食×高GI食群     7001        113.1
高蛋白食×低GI食群     7337        108.9
低蛋白食×高GI食群     7644        137.9
低蛋白食×低GI食群     7002        121.0

論文の結果より、上記のことが導き出され、今回の試験の盲点として、
総カロリーおよび炭水化物摂取量が低蛋白食群で多く、
高蛋白食群のアウトカムが高蛋白食、カロリーや炭水化物制限のいずれかに起因するのか不明である。
(ひらたく言うと、食事中の蛋白量が体重維持に与える影響を観察したかったが、
交絡因子が入り、蛋白量の影響を純粋に観察できなかった。)


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