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Team DiET Colloquium vol.40

小児期の肥満による成人期での心疾患リスク

Childhood Adiposity, Adult Adiposity, and Cardiovascular Risk Factors
(N Engl J Med 2011; 365:1876-1885 | November 17, 2011)

http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1010112

【背景】
 ・小児期の肥満は、心血管リスクの上昇に関連している。
 ・小児期に過体重または肥満であり、成人後に正常な体重に戻った人では、このリスクが
  軽減されるかどうかは明らかとなっていない。


【目的】
 ・小児期の肥満が、成人期の心疾患リスクに与える影響ついて調査を行う。


【方法概要】
 ■対象:
   アメリカ・オーストラリア・フィンランドで行われた4つの前向きコホート研究に
   参加した6,328人(男:2,961人、女:3,367人)
 ■過体重または肥満の定義:
   小児期:国際的に用いられている過体重と肥満に関する年齢別・男女別の BMI値
   成人期:BMI 30
 ■平均追跡期間:
   23年(ベースラインの年齢:11.4歳)


【結果概要】
  ◎成人で肥満になる傾向については、
    ・小児期に標準体重であった人の14.6%が成人で肥満
    ・小児期に過体重であった人の 60.4%が成人で肥満
    ・小児期に肥満であった人の  82.3%が成人で肥満
   であり、小児期に肥満であった人が圧倒的に多かった。

  ◎小児期の過体重あるいは肥満は、2型糖尿病・高血圧症・脂質異常症・頸動脈アテローム性
   硬化症のリスクと関連していた。

  ◎非肥満(小児期)→非肥満(成人期)を基準とし、各群の疾患発症リスクを以下に示す。
   ・肥満(小児期)→非肥満(成人期)群:2型糖尿病1.3倍、高血圧0.9倍、高LDL血症1.1倍
   ・肥満(小児期) →肥満(成人期)群:2型糖尿病5.4倍、高血圧2.7倍、高LDL血症1.8倍
   ・非肥満(幼児期)→肥満(成人期)群:2型糖尿病4.5倍、高血圧2.1倍、高LDL血症1.5倍
  ◎小児期の肥満に関わらず、成人してから非肥満であれば、これらの疾患リスクは抑えられる。


【結論要旨】
  ・小児期に過体重または肥満であり、成人後も肥満であった場合、2型糖尿病・高血圧症・
   脂質異常症・頸動脈アテローム性硬化症のリスクが上昇した。
  ・小児期に過体重または肥満であっても、成人するまでに肥満でなくなった場合、
   これらの疾患発症リスクは、幼児期に肥満になったことがない人と同程度であった。

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【Team DiET の議論】
 小児期の肥満が成人後の肥満に、これほどまでに影響を与えることが判り、
 食育の大切さを改めて感じた論文であった。

 小児期の肥満は、明らかに親の責任であると言っても過言ではない。
 飽食の時代をいわれ、子どもの運動不足も叫ばれる中、我が子が将来、
 生活習慣病にならないために、親は子どもの食生活や運動習慣に興味を持つべきである。
 更には、小児期の肥満を回避できれば、成人後の肥満をある程度回避できるため、
 親の責任は重大である。

 だからといって、体重に関して過敏になりすぎることにも注意を払っていかなければならない。
 最近では、小学校低学年でダイエットをはじめている子どももおり、その悪影響もまた、
 成人後に疾病となって現れるのである。

 親として子どもに手本を見せるためにも、バランスのとれた食生活と適度な運動を
 心がけたいものである。


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