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Team DiET Colloquium vol.7
青年期~成人期のBMIの推移における糖尿病と冠動脈疾患の発症リスク
Adolescent BMI Trajectory and Risk of Diabetes versus Coronary Disease
(N Engl J Med 2011; 364:1315-1325 | April 7, 2011)
http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1006992
【背景】
成人における肥満が、成人の2型糖尿病と冠動脈心疾患の発症に関与することが知られているが、
それよりも早い段階(青年期)の肥満が、その後(成人期)の疾患発症リスクになるかどうかは明らかではない。
【目的】
青年期の肥満(BMI)が成人期にどのように作用するのかを検証する。
【方法概要】
■対象
イスラエル軍に従事している若年男性 37674人
■方法
・前向き研究(平均17.4年追跡)
・定期健診センターを通じて血管造影で確認された冠動脈心疾患と2型糖尿病の発症を調査。
・対象者の身長と体重を定期的に測定。
・初回測定は17歳時に施行。
■基準
・2型糖尿病→空腹時血糖値126mg/dl以上を2回以上確認
・冠動脈心疾患→少なくとも1本の冠動脈に50%以上の狭窄を認める
【結果概要】
・平均17.4年の追跡期間での2型糖尿病の新規発症は1,173例であり、
冠動脈心疾患の新規発症は327例であった。
・年齢、家族歴、血圧、生活習慣因子、血中バイオマーカーで補正した多変量モデルにおいて、
青年期のBMIの増加が、糖尿病や冠動脈心疾患の有意な予測因子であった。
・更に成人期のBMIで補正すると、青年期のBMIと糖尿病との関連は完全に排除されたが、
冠動脈心疾患との関連は排除されなかった。
・多変量モデルにおいてBMI値を連続変数として補正すると、成人期のBMI増加のみが糖尿病と有意に関連した。
・一方、冠動脈心疾患には、青年期と成人期の両時期のBMIの増加が独立して関連していた。
【結論要旨】
・2型糖尿病→主に成人期のBMIが発症のリスクファクターとなる。
・冠動脈心疾患→成人期のBMIと青年期のBMIはそれぞれ独立したリスクファクターである。
・臨床的にも青年期のBMIの推移は、2型糖尿病および冠動脈心疾患のリスクを算定する際に重要だと言える。
・2型糖尿病は、臨床的に診断された後であっても、生活習慣を変えることで改善する。
・冠動脈心疾患は、臨床的に診断される前に生活習慣を変えるしか、発症予防はない。
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【Team DiET の議論】
今回の対象はアジア圏ではなく、また、女性が含まれていない事を考慮しなくてはいけないが、
青年期に肥満は遺産効果が少なく、成人期までに痩せれば、2型糖尿病のリスクが低減することが証明された。
このことは、生活改善の重要性を改めて提示する結果である。
しかし、注意しなくてはいけないのは、全ての青年期の肥満者が成人期に痩せても、
2型糖尿病リスクを回避できなかった点である。
青年期のBMIが最も高い(超肥満)群では、成人期にある程度痩せても、2型糖尿病を発症している点にも
注意すべきである。
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